皆さんは「ケアテック」という言葉を聞いたことがありますか?
「ケア」は介護や医療を指し、
「テック」はITのようなテクノロジーを指します。
ケアテックは、介護現場の課題を解決するために欠かせない存在になりつつあります。
今回は、様々なケアテックサービスが展示されている介護テクノロジー展に行ってきたので、印象に残った内容をまとめていきます。
「今のケアテックの現状を知りたい方」や「介護現場の悩みを解決するヒントがほしい方」は、ぜひ最後までお付き合いください。

介護テクノロジー展とは?

介護テクノロジー展は、介護現場の課題を解決するための最新テクノロジーやサービスが集まる展示会です。
見守り機器や介護ロボット、記録・請求システム、ICT機器、リハビリ支援など、介護に関わる幅広い製品が一度に見られるのが特徴です。
会場では実際の機器を触って試せたり、開発企業の担当者から直接話を聞けたりするため、「現場で本当に使えるか」「導入すると何が変わるか」を具体的にイメージしやすい場でもあります。
私自身、介護テクノロジー展を通して、介護の“人手不足”や“安全管理”といった課題に対し、テクノロジーが現実的な選択肢として近づいてきていることを強く感じました。
展示ブース
【介護統合システム】リハビリニーズに応えて満足度向上 ー(株)Rehab for JAPANー
こちらのブースで紹介されていたRehabCloudはご利用者のリハビリニーズに応えてくれるサービスになります。
RehabCloudは請求業務/計画書作成/LIFE提出/記録業務など幅広くサポートしているのですが、特徴的なのはリハビリ向けの機能が充実している点です。
今回は動作分析による身体機能評価を体験させていただきました。
人の動きをタブレットで撮影するだけで、簡単かつ正確な動作分析を行ってくれます。
その場で10秒ほど片足立ちをして、タブレットで動作を撮影。

数秒ほど待つと・・・
評価シートが作成されました!

わざとフラフラしてみたのですが、ちゃんと「ふらつきがある」と評価されていました。
分析結果は評価シートとして出力され、良いポイントや改善点をわかりやすく説明されています。
わざとフラフラしてみたのですが、きちんと「ふらつきがある」と評価されていて、精度も十分だと感じました。
ご利用者の中には「転ばないで歩きたい」「身体機能を落としたくない」という希望を持つ方が多いので、このサービスを活用することで満足度の向上に繋がるのではないかと思います。
既にリハビリに取り組んでいるデイサービスはもちろん、これからリハビリを取り入れたい場合にも、大きな味方になってくれるサービスだと思いました。
【介護統合システム】音声で記録入力や確認ができる。ほのぼのネクスト ーNDソフトウェア(株)ー

大手介護統合システムといえば、ほのぼのネクスト。
お世話になっている事業者も多いのではないでしょうか。
このブースでは、①音声による記録機能と、②声をかけることで過去の記録を確認できる機能が紹介されていました。
まずは①音声による記録機能についてです。
多くの施設ではタブレットで記録をつけているかと思いますが、タブレット入力は「手がふさがる」「画面切り替えが手間になる」といったデメリットもあります。
そのデメリットを解決してくれるのが、音声による記録です。
例えば、バイタルの場合、
「オッケーほのぼの 阿部さん バイタル 体温35.8、血圧102の80、脈拍72です」
と話しかけるだけで記録が完了します。
最初は慣れが必要かもしれないですが、手がふさがらず、タブレットを開く必要がないため、時短になる点は大きなメリットだと感じました。

続いて、②声をかけることで過去の記録を教えてくれる機能についてです。
ご利用者の過去の記録を参照したい場合、膨大な記録情報から探すのは大変です。
音声で確認できれば、作業を中断する必要がありませんし、時間も短縮できます。
結果として、スタッフのパフォーマンス向上にも貢献すると感じました。

【介護統合システム】さくさくの音声入力機能。ケアカルテ ー(株)ケアコネクトジャパンー

近未来的なブースと、インカムを装着したスタッフが印象的で、ひときわ目立っていたのがケアコネクトジャパンのブースでした。
こちらのブースでは、音声入力による記録業務を体験しました。
実際に私が音声入力している動画もありますので、よければご覧ください。(音量にご注意ください)
Hey Wiz
記録
高田様
食事
主食2割
副食3割
様子:嫌いなおかずを多く残しました
申し送り
送信
初めて音声入力をしてみましたが、シンプルな単語を言えばよいので、想像以上に簡単に入力できました。
入力した内容はモニターに映し出せるそうで、スタッフ間での共有がしやすい点も良いと感じました。
ブースの雰囲気だけでなく、テクノロジーの活用に注力しているような印象があり、今後の発展にも期待できるような内容でした。

【見守りセンサー】ミリ波センサーやスマートリングで異変を見逃さない ー(株)itosieー

ショートステイや入所施設では、ご利用者に異変がないか常に見守りを行っています。緊急時には素早い対応も求められます。
この見守り業務はスタッフにとって大変な負担になりやすい部分です。
itosieの見守りセンサーは、その負担を減らしながら、異変に気づくためのサポートをしてくれます。
天井に取り付けるミリ波センサーは、ご利用者の呼吸や心拍を測ることができます。
布団に入っていても一定の測定が可能とのことでした。

また、スマートリングを活用すること、より正確な見守りが可能になるそうです。
ご利用者に装着してもらうことで、より正確な心拍や血中酸素などの計測精度が上がるとのことでした。
24時間見守りが必要な環境では、高齢者の安全のためにも、スタッフの負担軽減のためにも、こうした見守りセンサーは必須になっていくと感じました。
【AI搭載見守りカメラ】AIが転倒事故の報告書を自動作成 ー(株)ヴォクセラー

こちらのブースでは、AIを搭載した見守りカメラが展示されていました。
カメラというと「映像を映すだけ」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、このサービスはそこから一歩進んでいて、AIが常にご利用者の安全を見守ってくれます。
転倒事故が発生した際に通知してくれるのはもちろんですが、私が驚いたのはその次です。
なんと、AIが転倒事故の報告書を自動で作成してくれるというのです。
介護現場では、転倒事故が起きても、スタッフがその瞬間を必ず目撃しているとは限りません。
居室内や廊下、トイレなど、目が届きにくい場所で起こることもあります。
そうなると事故後に分かるのは「床に倒れていた」「痛みを訴えている」「出血があるかもしれない」といった“結果”が中心になり、転倒に至るまでの経緯はどうしても推測が混じりやすくなります。

その状態で事故報告書を作成するのは、現場としても難しさがあります。
「なぜ転倒したのか」「どのような動きだったのか」「どのタイミングで起こったのか」——本当は重要なのに、目撃していなければ断言できない情報が多く、報告者の負担も大きくなってしまいます。
そこでこのAI見守りカメラは、転倒事故の状況を洗い出し、整理した情報として提示してくれます。
その結果、報告書作成の土台が「推測」ではなく「把握できた事実」に近づき、事故報告書の信憑性を改善できるというメリットがあります。
現時点では転倒事故が検知の対象ですが、技術がさらに発展していけば、今は人間にしかできないこともAIが補助・代替できるようになり、スタッフの負担軽減につながるかもしれません。
そうした将来性も含めて、このサービスはポテンシャルが非常に高いと感じました。
【誤薬防止】顔認証アプリで誤薬防止 ー三菱電機デジタルイノベーション(株)ー

介護現場では様々なヒヤリハットが発生します。
その内の1つが「誤薬」です。
このアプリは、薬包に記載された名前と、ご利用者の顔認証を照合することで誤薬を防止する仕組みです。
もし認証された顔が薬包に記載された名前の人物と違っていた場合、スマホの画面にアラートが表示されるようになっています。
一般的に服薬時は、スタッフがご利用者の名前を呼ぶなどして本人確認をしていると思います。
ただ、ご利用者が認知症の場合や、スタッフ側に不注意があった場合は、本人確認の精度が下がる可能性もあります。
スタッフの注意力に頼るだけでなく、こうした技術にも頼ることで、ヒヤリハットを減らしていく必要があると感じました。
【AIシフト作成】面倒なシフト作成はAIにおまかせ ー(株)クロスビットー
シフト作成ってすごく頭を使いませんか?
私も毎月シフトを作っていましたが、各スタッフの希望休を調整したり、スキルのバランスや加算要件を考えて作成するのは一苦労でした。
こちらのサービスでは、面倒なシフト作成をAIが代わりにやってくれます。
スタッフごとに当てはまる項目に「〇」をつけるというシンプルな仕組みなので、とても扱いやすいと感じました。


【電子契約書】一斉送信で利用者全員から署名を集められる ー弁護士ドットコム(株)ー
介護事業所では、利用者や家族から署名をもらう場面が多くありますよね。
紙の場合は、
【利用者全員分の書類を印刷】→【連絡帳に入れる】→【署名してもらった書類を回収する】
という手順になります。
変更届など、ご利用者全員から署名を集めなければいけないケースでは、かなり大きな手間が発生します。
しかし電子契約書のサービスを利用すると、
【メールで電子契約書を一斉送信】→【利用者・家族が電子署名したものを返信】
で済むため、業務負担を大きく減らせると感じました。
まとめ ~これからの介護現場にテクノロジーは欠かせない~
介護テクノロジー展では、多くのブースでAIを取り入れたサービスが紹介されていました。
AIを活用することで、これまで人間が行っていた仕事の一部を自動化できるようになっている点が印象的でした。
テクノロジーの発展に驚きと期待を感じた一方で、「どれだけの介護現場がこれらのテクノロジーを導入できるだろう?」とも思いました。
理由は2つあります。
1つ目は、コストの問題です。
どんなサービスも導入するには、金銭面での初期コストや継続コストがかかります。
大手企業であれば、最新のサービスを導入できるかもしれませんが、多くの事業者にそれほどの経済的余裕があるとは限りません。
2つ目は、介護スタッフ側の問題です。
まず、これらのサービスを使いこなすには、慣れるための時間や練習が必要です。
また、介護スタッフの中には、「機械に頼るより、なるべく人間の手でやった方がいい」と考える方もいます。
このようにコストや使用者側の問題は簡単ではありません。
それでも、人手不足がより深刻になっていく中で、テクノロジーはもっともっと介護現場に浸透していく必要があると思います。
今回のようなケアテック関連のイベントは年に数回、日本各地で行われています。
興味のある方は、ぜひ一度足を運んでいただきたいと思いました。
以上になります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

